考古学ブログ: Ours! 近江貝塚研究会

その事務局員が成長を目指して綴るバラエティー

考古学に活路を見出したい人のためのブログ。近江貝塚研究会は、日本で一番ゆるくてハードな考古系研究会。毎月1回の例会は参加費無料・飛び入り歓迎。近江・貝塚・縄文の枠を取り払って学び合います!

平成27524日(日)、「戦国合戦図屏風の世界」と題する記念講演会がありますよー。場所は滋賀県立安土城考古博物館2Fセミナールーム。講師は、茨城大学教授の高橋修さん!

 

高橋修さんちゅーたら、あの有名な川中島の合戦図を通して、見事なアナザーストーリーを描き出した方。『【異説】もう一つの川中島合戦 紀州本「川中島合戦図屏風」の発見』(洋泉社・2007年刊行)が有名です。今回のご講演もその辺りのお話が聞けるかも知れませんねー。乞うご期待!先生の詳しい情報はコチラ(茨城大学HP)→ http://info.ibaraki.ac.jp/Profiles/5/0000481/profile.html

 

講演時間は13:3015:00(受付は13:00から)。事前申し込み不要ですけど、当日先着順140名様まで。出遅れるな!お問い合わせは滋賀県立安土城考古博物館まで。電話は0748-46-2424。

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R0014209Sunday, April 26. 学会も無事終わり、エクスカーション(見学小旅行)の始まりです。クリスの運転するミニバスに8人が乗り込み、今日だけで620kmの大移動(!)。朝7:00に出発。アトランタに別れを告げます。

 最初の朝食はマクド。日本でもおなじみの朝マックでした。話には聞いてけど、ほぼほぼ同じで妙に感心。最初の見学地は、Ocmulgee National Monument (Mississippian Mounds, AD 900-1150, http://www.nps.gov/ocmu/index.htm)。この遺跡は、日本で言うと平安時代頃の遺跡。

 資料館の展示ではイラストを多用。一般の方にもイメージしやすいと思いました。これは、訪れたどの博物館でも同様でした。同行者からは、「民族誌がたくさん残っているから出来る。民族誌に乏しい日本では限界があるかも。」「そのイメージに引っ張られて、考古学的な実証がおざなりになりがちだと言うマイナス面もある」と言う声も。確かにそうかも知れません。一方でイラストの力を日本でも何とかもっと活用する術は考えないとあかんなー。

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セッション終了後、中華レストランで晩餐会。参加していた学会はSAA(アメリカ考古学会)だけど、今度のSEAA(東アジア考古学会)が九州大学で開催されると言うことで、その打合せを兼ねての晩餐会だそうな(このSEAAは実際に2012年に開催されました)。

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人ぐらいの集まりで、日本人は20名ほど。後の大半は英語を話す欧米人ばかり。私とマッキーさんは、事前にロビーで落ち合うはずだったロシア人のサーシャをホテルで探し回っていたために遅れて入店。ほかの日本人が固まって座っていたグループには潜り込めず、たどり着いたテーブルはほぼ欧米人で唖然。打ち上げの晩餐会でボッチになりかける。

しかし、〈捨てる神あれば拾う神あり〉。たまたま隣に座ったオックスフォードのドイツ人青年Sascha 君は中国考古学専攻。英語も中国語もペラペラで、たどたどしい私に随分話を合わせてくれました。

さらにその隣はアメリカ留学中の中国出身の小柄な女子学生。晩餐会には各国から中国考古学の大家が集まっていたようで、感動に浸っておられました。私は中国考古学に疎い上に、国外の学者を誰一人も知りませんでしたので、豚に真珠。

彼女の英語も大変きれいに聞こえる。やっぱり四声を使いこなす国は違うな。なんだかコミュニケーションがうまく取れて特に仲良くなれました。「日本関係の考古学者を紹介しましょうか」と申し出ると、とても喜んでくれたので、小林達雄先生や松井章さん、ピーター・ジョーダンさん達をご紹介。

 むちゃくちゃ感心したのは彼女の名刺のもらい方。頂いた名刺はどれも大事そうにおし抱きます。本当に〈おしいだく〉。その姿勢には正直好印象。こんなに名刺を大事そうに受け取る人、日本では見たことないな。中国に詳しいマッキーさんによれば、中国の若い学生さんがまだ共通して保っている良い面だそうな。私も見習おう。

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R0014133Saturday, April 25.  とうとう発表の日の朝。5時頃に目が覚め、静かに1階ロビーへ行って発表練習。例のスタバは6時に開店。おしなべて、アメリカの朝は早い。

 毎朝眺めているホテル周辺のオフィス街も真っ暗な朝6時には各フロアの電灯がついて、お仕事開始。日本人が世界で一番勤勉だというのは妄想かも。それはともかく、アメリカは朝早く始めて夜を楽しむ社会のように見えます。そう言えば、初日の探索で訪れた公園では、平日だというのに、夕方には家族連れがたくさんあつまって、ジャズのコンサートを楽しんでたなー。

 さてこの日の午後には我々のセッションがいよいよ開幕。セッションにはアメリカからGIS考古学のクリスも参加してくれていました。デジタル系が得意でまめなクリスが、会場のあれこれをセッティング。

 ところが直前にトラブル発生!プロジェクターが動かない。大男のクリスが汗まみれでキーボードを操作します。過ぎていく時間、つり上がるまなじり。垂れ下がるケーブル。そう、原因はこのケーブル。・・・PCと繋がってない。アメリカまで来て危うく不発♪イェイ!



 

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R0011954a仕事帰りにパチリ。昨夕、18:30頃の安土城考古博物館のすぐ南から。
左手の山が城のある安土山。
その向こうには琵琶湖が広がります。

城の周りはどこも田植えが終わり、朝日に煌めき、夕陽を映します。

撮影に夢中で、電車に乗り損ねるところでした。

安土博の〈合戦展〉、今月末まで。
お時間ありましたら、ぜひ!
http://azuchi-museum.or.jp/special-kikaku/2561.html

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◆5月16日(土)、近江貝塚研究会第259回例会。お待ちしてます!
 特集:レンズの向こうにみえるもの(Ⅰ)
 日時:5月16日(土)午後1:30~午後6:00〈報告60分+質疑応答60分〉×2本
 場所:滋賀県埋蔵文化財センター 2階研修室

    http://shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

◆報告1 渋谷 綾子さん |国立歴史民俗博物館 

    残存デンプン粒の出自を知る―北海道とトルコの調査結果を例として
◆報告2 石田 智子さん |鹿児島大学  
     地球科学的胎土分析による土器研究の新展開

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R0015105Friday, April 24. 起床してから11時頃まで、同室のマッキーさんと考古学的な景観論を真面目に議論。お題は、〈新大陸を、もし中国や日本に起源を持つ社会が開発したらどうなったか?〉こう見えても2人は景観考古学を試みていたのだよ。

 それはさておき、現在のアメリカは肉とムギをはじめとする穀物を主に生産しています。これはヨーロッパ人が入植・開拓して出来た国だから。一方で、仮に中国が進出していたなら、どうなっていたのか?もしかすると、この地で米と魚をメインに生産する国になっていた可能性も十分考えられるのでは・・という結論に至りました。

 これは環境が景観を形作っていくのではなく、保有する文化が景観を形作っていくと言う考え方になります。これはその後のエクスカーションで、ジョージアとサウスカロライナの沿岸部を回る中で確信に近づいていきました。

 この地域の景観は、例えば日本の佐賀平野や近江八幡で想定される原風景とそっくりです。でも、最終的な形は異なっている。また、低湿な環境に適した稲作も実際にやっているのですが、道具は西欧のムギ耕作の物やそれを改変したモノが使われているように見受けられました(この話は後日ふたたび)。

 持っている技術(文化力)で、人は環境に適応しようする。その姿がここに見通せます。その一方で、文化は変容していく。この変容させる力とは何かなのか、そして始まりを生み出す物は何かが課題となりました。ちょっとまじめ。

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さてさて、昨日の続き。琵琶湖周辺地域の縄文時代早期~古墳時代前期に集団規模の推移を問うておりました。論点は2つあって、Aの方は前回提示。今回は論点Bについての所見です。

 
 論点Bは、〈居住集団の規模〉の推移。1つの遺跡の居住規模はどのくらいか?1つの建物の居住規模はどの程度なのか?これらはどのような推移をたどるのか?こういった点を、居住遺跡における建物数や建物面積合計値の推移、建物面積の度数分布・散布状況からアプローチしました。分析結果は以下の通り。

⑤ 居住遺跡における建物数・建物面積合計値の分析では、Ⅱ・Ⅲ期(弥生時代中期前半)に拡大傾向の萌芽が見出せます。続くⅣ期を境として、中規模型の遺跡が増加していく傾向が見られ、Ⅵ期には中規模型・大規模型の遺跡がそれぞれより普遍化したようにみえます。

⑥ 一方、建物面積の分析では、9期(縄文時代中期後葉)とⅣ期に画期が見出せました。これらの時期を境に、より規模の大きい建物が出現する傾向が見て取れます。

⑦ 建物数・建物面積合計値を居住遺跡の規模とし、建物面積の大小が1つの世帯の規模をある程度示唆すると見なすとします。そうしたとき、琵琶湖周辺地域の居住集団の規模拡大傾向は、まず縄文時代中期後葉の9期に世帯の規模が拡大する形で萌芽したことが読み取れます。そして、Ⅱ・Ⅲ期に居住遺跡の規模がやや拡大した後、Ⅳ期以降に居住遺跡と世帯の規模の双方を更に拡大させる形で展開したと結論づけられました。


 
以上、結論部分だけ掻い摘んでお話ししましたが、詳しくは下記論文のとおり。グラフを多用しているので、テキストだけより見やすいかも。全国の都道府県立図書館や考古系の学科がある大学、埋蔵文化財センターなどに配本済みです!

 瀬口眞司2015 「縄文時代~古墳時代前期の集団規模の推移――琵琶湖周辺地域における先史社会の展開過程に関する覚書(1)――」『紀要』28 公益財団法人滋賀県文化財保護協会
 http://shiga-bunkazai.jp/%e7%b4%80%e8%a6%81%e3%80%80%e7%ac%ac28%e5%8f%b7%ef%bc%882015-3%ef%bc%89%e3%80%90%e5%9c%a8%e5%ba%ab%e6%9c%89%e3%80%91/

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引き続きWAC-8京都実行委員会 事務局さんからのご案内。2015619日金曜日13:00 15:30に、大阪府立弥生文化博物館で講演会。その名も〈ブルガリア文明の十字路を掘る!〉。

 お話は二本立て。①特別講演:ディアナ・ゲルゴヴァ氏(ブルガリア科学アカデミー上級研究員)、②基調報告:田尾誠敏氏(東海大学非常勤講師)です。ゲルゴヴァ氏の講演は英語だけど通訳つき。

 定員は170 名(当日先着順・開館時より整理券配布)、聴講料は無料(ただし高校生以上は入館料が必要)とのこと。詳しくはコチラを Check it out, yo. Yeah!→
https://webdisk.doshisha.ac.jp/public/tieIwAQNJU7A_s4B9dVNV2ZKoF7kxI2dkfdWu3heQ1BH

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WAC-8京都実行委員会 事務局さん、ならびに立命館大学の矢野健一さんからのご案内!2015521日(木)18:0020:00に、立命館大学衣笠キャンパス清心館502において、石器製作やフリント利用に関するお話を伺う機会が催されるとのこと。講師はDavid Smithさん(英国:石器製作家、The Flintman Company Limited設立者)。

フリントって石器の素材にしばしば使われた素敵な岩石。Smith さんは、イギリスの石器製作第一人者(!)で、現在は石器製作を教えたり、石器素材のフリントを建築などに有効利用する会社を設立。古代の技術を現代に生かす活動を続けておられるそうな。このたびは、Smith さんは日本の研究者と共同のプロジェクトを行うために来日。

 京都にも来られるので石器製作やフリント利用に関するお話を伺う機会が設けられたとのこと。石器製作の実演もありまっせ。お話は英語ですが、縄文研究者Simon Kanerさん(英国:イーストアングリア大学教授)が流暢な日本語で通訳、だから安心。詳しくはコチラ→
https://webdisk.doshisha.ac.jp/public/UiIMwA6NqI7A8x8Bo4tNCyxK2L_kYcmdavUdzm9QfCd8

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