やるせない話ばかりが続く2020年の春、飛び切り嬉しいニュースが入ってきました。九州大学埋蔵文化財調査室の福永将大さんが単著を刊行されました。『東と西の縄文社会─縄文後期社会構造の研究─』(雄山閣2020年4月25日刊行)です。
何が嬉しいかというと、福永さん、2014年の終わりから2019年の初めまで計5回に渡って近江貝塚研に参加し、例会発表をしてくれていたから。
毎回、いろんな方からもらった指摘を持ち帰り、コツコツ検討して翌年また発表する。そんなサイクルを近江貝塚研だけでなく、関東や九州の研究会や学会で繰り返す。たくさん生まれた知的な化合物を結晶化させていく。その努力の賜が今回刷り上がった立派なこの本だと思います。
やっぱり継続は力なり。成功とは、諦めなかった者が得る果実。
志ある若者よ!なりたい者になりたければ、福永さんの足跡をたどるのも意味がきっとあるぞ。
コロナのおかげで例会は中断していますが、そんなことで立ち止まっている場合ではないことを思い出させてもらいました。ありがとう、福永君。アプローチの違いはありますが、論じたい領域は随分重なり合います。これからもがっぷり組み合って、「縄文社会論」、議論してまいりましょう。
最後に、❶御高著に付された「帯」の紹介文、❷Amazonへのリンク、❸近江貝塚研での福永さんの足跡をご紹介して終わりにします。ご参考までに。
❶御高著に付された「帯」の紹介文
日本列島における人類史の画期的なイベントである縄文時代から弥生時代への変化の鍵を握る、縄文時代後晩期の社会構造と、東日本と西日本の「縄文文化の東西差」発現メカニズムの実態を、縄文土器の広域分布の変動や集団構成・生業活動の詳細な検討から論考する。
❷Amazonへのリンク
❸近江貝塚研での福永さんの足跡(例会発表の記録)
第253回 2014年11月15日
土器からみた縄文時代社会ネットワークの研究
第268回 2016年1月23日
器種構成からみた縄文後期広域土器分布圏の変遷
第279回 2017年1月23日
加曽利B式土器からみた列島縄文後期の集団関係
第293回 2018年3月24日
「縄文文化の東西差」に関する一考察―縄文後期中葉社会を事例として―
第303回 2019年1月19日
九州縄文後期後半期における社会・文化変動の再評価