考古学ブログ: Ours! 近江貝塚研究会

その事務局員が成長を目指して綴るバラエティー

タグ:工藤雄一郎

遺跡発掘調査報告書放射性炭素年代測定データベース歴博の工藤雄一郎さんから、以下のようなとっても有益なデータベースの構築と公開のお知らせです。

 

これはものすごく便利そう。

この分野ならびに関連領域の研究が更に推進することは明白ですね。

ぜひ一度ご覧になってください!
(瀬口眞司)

 

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歴博データベース「遺跡発掘調査報告書放射性炭素年代測定データベース」公開のお知らせ

 

国立歴史民俗博物館では,歴博データベース「遺跡発掘調査報告書放射性炭素年代測定データベース」を公開・運用開始しました。

https://www.rekihaku.ac.jp/up-cgi/login.pl?p=param/esrd/db_param



ぜひご活用いただけたら幸いです。

 

<データベース概要>

現在,年間7000件以上の遺跡発掘調査が日本全国で行われています。

考古学において遺跡・検出遺構・出土遺物の時代や時期を決定することは最も基礎となる作業であり,

層位学的な検討と出土遺物を考古学的な相対編年に位置づける作業が行われます。

 

その一方で,理化学的な年代測定による数値年代の把握も極めて重要で,

加速器質量分析法(AMS法)による放射性炭素年代測定が普及した現在では,

各都道府県や市町村の遺跡発掘調査においても多数の放射性炭素年代測定が実施されています。

 

これらの放射性炭素年代測定事例は考古学にとっても,

人類学や歴史学,第四紀学などの関連科学にとっても貴重なデータですが,

一人の研究者がその全てを把握するのは到底不可能な数の遺跡発掘調査報告書が毎年刊行されているのが現実です。

 

そこで,国立歴史民俗博物館の図書室にある約6万冊の遺跡発掘調査報告書の悉皆調査を行い,

放射性炭素年代測定の分析例がある報告書を抽出し,データベース化する作業を進めています。

このデータベースによって,考古学における年代研究がより一層進むことを期待します。

 

<データ件数>

現在,東北・関東の13都県のデータ約13000件を公開しています。今後,残りの都道府県を順次追加していく予定です。

 

<検索>

都道府県,遺跡名,時代,14C年代の範囲(例:9000800014C BP),測定機関など,複数の条件から検索が可能です。

検索結果一覧は,エクセル,CSV,テキストで出力が可能です。

暦年較正年代はデータベースには含まれていません。その代わりに個別レコードから,

直接OxCalで較正できるシステムを導入しています(OxCalへのユーザー登録が必要です)。

ただし,IntCal13のみでの較正となります。


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歴博の工藤雄一郎さんから新刊書のご案内です。

以下,ご紹介文。この分野、バリバリ音を立てて研究が進んでいてますねー。(瀬口眞司)

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201511月に開催した第98回歴博フォーラム「さらにわかった!縄文人の植物利用その始まりと編みかご・縄利用」の記録集として,

以下の書籍を刊行しました。

 

『ここまでわかった!縄文時代の植物利用』(20141月刊行)の続編で,

縄文時代前半期の植物利用の新たな研究と,あみもの研究会による縄文時代の編組製品と縄類の研究成果を1冊にまとめたものです。

 

今回も写真・図をフルカラーでふんだんに使い,最新の研究成果を分かりやすく提示することを心がけて作りました。

ぜひご覧になっていただけたら幸いです。

 

 

◆新刊『さらにわかった!縄文人の植物利用』

https://www.amazon.co.jp/dp/4787717022/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1489277373&sr=8-1&keywords=%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%AB%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%81%E7%B8%84%E6%96%87%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%A4%8D%E7%89%A9%E5%88%A9%E7%94%A8

 

定価:2700円(税込)

新泉社 2016325日刊行

工藤雄一郎・国立歴史民俗博物館/編

A5版 全212頁,フルカラー図版

 

<目次>

はじめに【工藤雄一郎】

 

1縄文時代の前半期ってどんな時代?−16000年前から6000年前まで【工藤雄一郎】

 11 ここまでわかった! 縄文人の植物利用から3年

 12 縄文時代前半期に注目する

 13 縄文時代前半期の植物利用は未解明

 14 「縄文時代前半期の植物利用」の研究チーム

 15 「あみもの研究会」による編組製品・縄の研究チーム

 

2縄文時代の低湿地遺跡─鳥浜貝塚が教えてくれること【鯵本眞友美】

 21 鳥浜貝塚の発見と調査の歴史

 22 低湿地遺跡と学際的な調査体制

 23 土器の出現から遺跡の廃絶まで

 24 植物性の道具とその移り変わり

 25 鳥浜貝塚が教えてくれること

 

3鳥浜貝塚から見えてきた縄文時代の前半期の植物利用【能城修一】

 31 縄文時代前半期の植物資源利用

 32 鳥浜貝塚における縄文時代前期の木材利用

 33 鳥浜貝塚における縄文時代草創期・早期の木材利用

 34 縄文時代草創期・早期のウルシとアサ

 35 鳥浜貝塚における人間活動と資源利用

 

4編組製品の技法と素材植物【佐々木由香】

 41 編組製品の特色

 42 縄文時代の編組製品の研究法

 43 籃胎漆器の内部構造と編組技法

 44 縄文時代の編組技法

 45 アズマネザサのかごとヒゴの厚さ

 46 土器底部敷物圧痕とスズタケのかご

 

8000年前の編みかごから何がわかるのか?─佐賀県東名遺跡【西田 巌】

 51 東名遺跡とは?

 52 東名遺跡で発見された遺構と遺物

 53 東名遺跡の編みかご

 54 編みかごの素材と技法

 55 編みかごの用途 

 

6東名遺跡と三内丸山遺跡のかごを復元する【高宮紀子】

 61 遺跡出土の編みかごを復元する意味

 62 東名遺跡の復元かご

 63 三内丸山縄文ポシェットの復元

 64 復元から見えること

 

7縄文のかご作りに刃物はいらない? 下宅部遺跡の4000年前の編みかご【千葉敏朗】

 71 下宅部遺跡と編組製品

 72 8号編組製品の復元実験と素材

 73 8号編組製品をつくる─素材の粗割─

 74 8号編組製品をつくる─ヒゴづくり─

 75 8号編組製品をつくる─編み上げ

 

8下宅部遺跡と正福寺遺跡のかごを復元する【本間一恵】

 81 下宅部遺跡のアズマネザサのかごを復元する

 82 下宅部遺跡のかごの編み方

 83 正福寺遺跡のテイカカズラとツヅラフジのかご

 84 正福寺遺跡のウドカズラのかご

 85 縄文時代のかごを編んで

 

コラム① 下宅部遺跡第八号編組製品の復元画について【工藤雄一郎】

コラム② あみもの研究会が復元したかご【小林和貴】

 

9鳥浜貝塚から半世紀─さらにわかった! 縄文人の植物利用─【鈴木三男】

 91 鳥浜貝塚のリョウメンシダの縄

 92 鳥浜貝塚の縄紐類の多様な素材

 93 縄文時代の縄紐類の素材植物の地域性と時期差

 94 縄文時代の樹皮利用

 95 新たな研究の展開に向けて

 

おわりに【工藤雄一郎】

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お待ちしてまっせ。近江貝塚研 第275回例会のご案内です!

特集は〈縄文草創期研究を通して学ぶ〈人・環境〉の関係史〉です。詳細は以下の通り! 
 

日時:924日(土)午後1:30~午後6:00  
  
〈研究報告60分+質疑応答60分〉×2本

場所:滋賀県埋蔵文化財センター 2階研修室
   
http://shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/


報告1:村上 昇さん | 豊橋市教育委員会| 
    
隆起線文土器群の地域差発現とその背景―東北地方を中心に― 

(要旨)縄文時代草創期の前半に日本列島広域に分布する隆起線文土器群は、隆起線文を貼付するという点では斉一的である。しかしながら、文様構成や形状には地域差が認められる。本報告では、隆起線文土器群に地域差が生じる背景を読み解く試みとして、東北地方の資料を取り上げ、検討を加える。東北地方の隆起線文土器は、施文手法は共通するものの、南北で口縁端部の整形が異なる。この差が発現する背景を、当時の気候、植生、動物相、石材流通の状況と比較しながら検討を加えたい。 


報告2:工藤 雄一郎さん | 国立歴史民俗博物館 | 
    
鳥浜貝塚における人と植物の関係史:古環境の再調査と高精度放射性炭素年代測定から見えてきたこと

要旨)2011年度から進めている鳥浜貝塚の堆積物の再調査(代表:能城修一)から明らかになってきた,鳥浜貝塚出土土器型式の実年代および古環境の研究成果を紹介する。


※例会後、懇親会あり。会費3000円程度。

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◆第275回例会  特集:縄文草創期研究を通して学ぶ〈人・環境〉の関係史


日時:924日(土)午後1:30~午後6:00  
    〈研究報告60分+質疑応答60分〉×2本

場所:滋賀県埋蔵文化財センター 2階研修室

    http://shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/


報告1:村上 昇さん | 豊橋市教育委員会| 
        隆起線文土器群の地域差発現とその背景―東北地方を中心に―

(要旨)縄文時代草創期の前半に日本列島広域に分布する隆起線文土器群は、隆起線文を貼付するという点では斉一的である。しかしながら、文様構成や形状には地域差が認められる。本報告では、隆起線文土器群に地域差が生じる背景を読み解く試みとして、東北地方の資料を取り上げ、検討を加える。東北地方の隆起線文土器は、施文手法は共通するものの、南北で口縁端部の整形が異なる。この差が発現する背景を、当時の気候、植生、動物相、石材流通の状況と比較しながら検討を加えたい。


報告2:工藤 雄一郎さん | 国立歴史民俗博物館 | 

 鳥浜貝塚における人と植物の関係史:古環境の再調査と高精度放射性炭素年代測定から見えてきたこと

(要旨)2011年度から進めている鳥浜貝塚の堆積物の再調査(代表:能城修一)から明らかに>なってきた,鳥浜貝塚出土土器型式の実年代および古環境の研究成果を紹介する。

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・懇親会(会費3000円前後)もあります。親交拡大にご活用下さい(JR大津駅前「養老の滝」の予定)。

・災害やインフルエンザ等の流行などに伴い、急遽中止になることもあります。

 怪しいときはお手数ですが、必ず 瀬口携帯 090-1441-5104(それからブログ!http://koukogaku.blog.jp/ )などでご確認下さい。

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まいどおおきに。近江貝塚研究会事務局からのご案内です。さて、今回は9月例会の速報版です。縄文草創期研究を通して〈人・環境〉の関係史とその手法を学びます。詳細は後日ご連絡しますが、日程・内容などの概要は以下の通り。是非カレンダー・手帳にご記入ください!

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◆9月例会(第275回)  
 特集:縄文草創期研究を通して学ぶ〈人・環境〉の関係史

◆9月24日(土)13:30~ 滋賀県埋文センター・2階研修室 

◆報告1,村上 昇さん | 豊橋市教育委員会 | 隆起線文土器群の地域差発現とその背景
隆起線文土器は、隆起線文を貼付するという点では斉一的と言えるが、一方で地域によって差違も認められる。その地域差から地域間の関係を確認し、更には地域差が発現する背景について検討したい。

◆報告2,工藤 雄一郎さん | 国立歴史民俗博物館 | 
鳥浜貝塚における人と植物の関係史:古環境の再調査と高精度放射性炭素年代測定から見えてきたこと2011年度から進めている鳥浜貝塚の堆積物の再調査(代表:能城修一)から明らかになってきた,鳥浜貝塚出土土器型式の実年代および古環境の研究成果を紹介する。

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月以降の予定のおさらいです。当店自慢のラインナップ。乞うご期待!
272回 6月25日(土) 特集:レンズの向うに見えるもの 2016 
273回 7月30日(土) 特集:資料の総合的分析から我々は何を見出せるのか?

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国立歴史民俗博物館の工藤雄一郎さんから新刊書刊行のご案内ですよ。民俗学の創始者・柳田國男は考古学が嫌いだと思われてましたけれど、実は・・という本。くどうちゃん、本当にたくさん仕事してますよね。すばらしい。まだわたし、実物見てませんけれど、きれいな本を作る新泉社さんからの刊行。Amazonで画像見ましたけれど、なかなかええ感じですわ。

それはともかく、〈考古学と民俗学の特質〉をより深く理解したい人、必見ですよ。きっと。以下、工藤さんからの紹介文です。


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刊行案内 『柳田國男と考古学—なぜ柳田は考古資料を収集したのか—』


国立歴史民俗博物館では20112013年度に共同研究「柳田國男収集考古資料の研究」を行い,20164月から特集展示「柳田國男と考古学」を開催しております(2016/10/10まで)。展示にあわせて,展示図録のかわりとなる「概説書」を新泉社から刊行しました。

日本民俗学の創始者で「考古学嫌い」として知られていた柳田國男が,主に明治後期に収集した考古資料を通じて柳田國男の考古学に対する考え方の遍歴をたどり、日本のあらゆる学問が科学的な様相を帯びてくる明治から昭和初期に、考古学と民俗学がお互いをどのように意識しながらそれぞれの学問体系を構築していったのかを簡潔にまとめました。学史に関心がある方はぜひご覧ください。

定価:2200円(税別)

新泉社刊

設楽博己・工藤雄一郎・松田睦彦/編著

新泉社の紹介ページはこちらです。
http://www.shinsensha.com/detail_html/03kouko/1602-2.html

アマゾンはこちらから。
http://www.amazon.co.jp/dp/4787716026


【目次】

1 柳田國男の生い立ちと学問的背景

 柳田國男の生い立ちと間引き絵馬の衝撃

 文学への傾倒から農政官僚へ

 経世済民の学としての民俗学へ

2 柳田國男が集めた考古資料

 柳田國男旧蔵考古資料とは?――収集の経緯

 柳田國男はどんな考古資料を収集したのか

 柳田考古遺物の採集地はどこか? ほか

3 なぜ柳田國男は考古資料を収集したのか

 お雇い外国人の活躍と一八八〇年代の「日本人種論」

 日本人研究者による人種論の始まり――アイヌ・コロボックル論争

 柳田國男の考古遺物収集と山人論の形成

 古代史学者喜田貞吉の日本民族論と柳田國男との関係

 鳥居龍蔵の固有日本人論――日本民族の起源と弥生土器の系譜

 形質人類学者による日本人種論 ほか

4 柳田民俗学の形成と考古学批判

 柳田國男はなぜ考古学を批判し、考古学と決別したのか

 自然科学と文学──松本彦七郎・山内清男と柳田國男

 柳田國男と南方熊楠との交流──民俗学の自覚

 山人論から稲作民俗論へ

 文学との決別が柳田民俗学を生んだのか──柳田の思想の文学性

 民俗学の誕生と考古学への意識  ほか

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国立歴史民俗博物館の工藤さんからのご案内です。「日本の遺跡出土大型植物遺体データベース」が公開となったとのこと。詳しくは下記の通りです。ご活用ください。

なかなか確かにスゴイよ。一度試してみてみて。

瀬口眞司

 

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この度,国立歴史民俗博物館では「日本の遺跡出土大型植物遺体データベース」を公開しました。

https://www.rekihaku.ac.jp/up-cgi/login.pl?p=param/issi/db_param

このデータベースは千葉大学園芸学部の百原新先生と石田糸絵さん(千葉大学園芸学部卒),歴博の工藤が中心となって2011年度からデータベースの構築作業を進め,2016331日に歴博HPで公開となりました。

データベース構築にあたって,歴博の図書室にある約6万冊の遺跡発掘調査報告書の悉皆調査を行い,大型植物遺体の分析報告例がある約2500冊を抽出しました。1分類群1レコードとして入力し,現在62951 件のデータが登録されています。

分類群名,科名,時代,都道府県名などで検索ができます。検索結果をgoogle mapで表示することも可能です。

大型植物遺体の遺跡出土例を調べる際などにとても便利なデータベースになっています。

ユーザーが直感的に検索できるようにするため,デザインも工夫しました。

ご活用いただけたら幸いです。

データベースの概要については,以下の文献にも解説が掲載されておりますので,あわせてご覧ください。

石田糸絵・工藤雄一郎・百原新2016「日本の遺跡出土大型植物遺体データベース」『植生史研究』24-1: pp. 18-24.

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工藤 雄一郎 Yuichiro Kudo, Ph.D.

285-8502千葉県佐倉市城内町117番地

国立歴史民俗博物館 研究部考古研究系

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歴博の工藤雄一郎さんからの情報提供ですよ。歴博フォーラムが1121日(土)に歴博で開催されます。今回のフォーラムの売りは以下の2つ。

(1)鳥浜貝塚の再調査の成果から,鳥浜貝塚の意義を見つめ直す点。

(2)鈴木三男先生を代表とする「あみもの研究会」の成果が分かる点。

鈴木三男先生(東北大学名誉教授)の総括的な報告もありますよー。

それからね、〈あみもの研究会〉がこれまでに復元した縄文時代の編組製品の復元品(東名遺跡,正福寺遺跡,三内丸山遺跡,下宅部遺跡)が全て見られるそうな。もしかしたらまとめて見られるのは最初で最後かもしれないとのこと(※誰かが企画展などで全部集めて展示しようと思わない限り)。以下内容です。

98回「さらにわかった!縄文人の植物利用-その始まりと編みかご・縄利用-」

日程    20151121日(土)
時間    1000分~1630分 (開場930分)
場所    国立歴史民俗博物館講堂
定員    260名(先着順 ※本記事最後の〈お申込み方法〉参照のこと)
参加費    無料
主催    国立歴史民俗博物館

2012年までに行った開発型共同研究「縄文時代の人と植物の関係史」およびそれ以降の研究において進展があった、縄文時代の植物利用に関する新たな研究成果を一般に分かりやすく提示します。今回は特に、福井県鳥浜貝塚の縄文時代草創期から前期の資料の再調査によって明らかになってきた縄文時代の植物利用の初源の様相を紹介するとともに、「あみもの研究会」(代表:鈴木三男)による編組製品の素材研究と復元製作実験から明らかになってきた、縄文人による植物素材選択や使い分けなどの技術を紹介します。

10:00    館長挨拶
10:05    縄文時代の前半期ってどんな時代?16000年前から6000年前まで
         工藤雄一郎(国立歴史民俗博物館)
10:25    縄文時代の低湿地遺跡—鳥浜貝塚が教えてくれること
        鯵本眞友美(福井県立若狭歴史民俗博物館)
10:55    鳥浜貝塚から見えてきた縄文時代前半期の植物利用
        能城修一(森林総合研究所)
11:30    昼休憩、復元かごの解説〈ガイダンスルーム〉
         小林和貴(東北大学植物園)
         高宮紀子(バスケタリー作家)
         本間一恵(バスケタリー作家)
13:00    編組製品の技法と素材植物
         佐々木由香(パレオ・ラボ、明治大学研究・知財戦略機構)
13:40    8000年前の編みかごから何がわかるのか?佐賀県東名遺跡—
         西田巌(佐賀市教育委員会)
14:10    東名遺跡と三内丸山遺跡のかごを復元する
         高宮紀子
14:30    休憩、復元かごの自由見学〈ガイダンスルーム〉
14:50    縄文のかご作りに刃物はいらない?下宅部遺跡の4000年前の編みかご
         千葉敏朗(東村山市ふるさと歴史館)
15:20    下宅部遺跡と正福寺遺跡のかごを復元する
         本間一恵
15:40    鳥浜貝塚から40さらにわかった!縄文人の植物利用
         鈴木三男(東北大学名誉教授)
16:20    終了挨拶
※内容や講師は都合により変更することがあります。予めご了承ください。

<お申し込み方法>
お申し込みフォーム:下記のリンク先のお申し込みフォームに必要事項を記入の上、お申し込みください。http://www.rekihaku.ac.jp/others/form_01/index.html

往復ハガキ:「1121日 第98回歴博フォーラム参加希望」と明記の上、住所、氏名(ふりがな)、電話番号を書いて、下記宛先までお申し込み下さい。
285-8502 千葉県佐倉市城内町117番地
国立歴史民俗博物館 広報サービス室 広報・普及係
※定員に達した時点で締め切ります。


 


 

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縄文晩期の研究者、注目です!国立歴史民俗博物館にある膨大な〈田中忠三郎コレクション〉。その晩期資料に関する図録が刊行されちゃいました。通信販売でもゲットできますえ。

 田中忠三郎さんといいますのは・・・いつものようにウィキペデイア先生に聞いてみますと、 “1933年(昭和8年)青森県下北郡川内町(現・むつ市)生まれ。渋沢敬三に傾注し、民具の調査・収集に奔走してきた在野の学者。(中略)20代の頃から青森県で下北アイヌの調査や、縄文遺跡の発掘調査を私的に始め、縄文中期(紀元前2500年頃)・縄文晩期(紀元前1000年頃)の遺跡を中心に調査を行う。その後1965年頃より考古学から民俗・民具に調査の対象を広げ、以降40年以上にわたり集落の姥や古老から昔の話を聞き取るフィールドワークを行う。”とありますね。

 田中さん、2013
3月に79歳で亡くなられてますが、御生前、20 30代にかけて発掘した縄文遺跡の考古学資料約1万点を国立歴史民俗博物館に提供されたと。でもね、膨大すぎて、一部を除いてほぼ未公開だったそうな。

 そこで立ち上がったのが小林謙一さん、比較的まとまった資料が含まれていて、学史的にもむちゃくちゃ有名な〈亀ヶ岡遺跡〉・〈是川遺跡〉の土器の整理に何とか着手。小林さんが中央大学に出てからは、工藤雄一郎さんが引き継いで、石器の整理や写真撮影作業等(撮影は勝田徹氏)を進め、この2015年春に刊行しました。

 で、最後まで編集に尽力した工藤さんにぶっちゃけインタビュー。一番苦労したところは、“いくつかの土器で「開腹手術」が必要だったこと”だそうです。

 たとえばね、遺跡を発掘していると普通は注口は外れて出土する。ところが田中さん、完形で出土したかのようにみせるために、色調・形態が近い別の個体の注口部をきれいにくっつけちゃいました。要するに整形手術しちゃったのね。工藤さんによりますと“図録の注口土器の写真を見ると、注口部がなくって汚くなっているものは、そういった個体です。怪しげな土器は全部「開腹」しました。”とのこと。

 にゃるほど。そういう時代もありましたよね。たまに資料館でも、今から見ると〈ガンバリ過ぎちゃった〉の復元資料あるもんな。土偶ちゃんなんかでもよくある。苦労して集めた折角のコレクション、田中さんもカッコよく魅せたかったんでしょうねー。分からんところがないでもない。

 残念ながら「開腹手術」ができなかったものもあるそうで、それが“漆塗の浅鉢の復元品2点”だとのこと。完形に復元してあるけど、田中さんがガチガチに固めちゃったので「開腹手術」を断念。器形は問題ないそうですが、やっぱり違和感出まくり。工藤さん、そんな漆塗土器を格好良く見せるために小扉写真として使用。“左右を上手いこと切って使っています。ぜひ見てみてください(笑)”だそうな!

 ともあれ掲載写真、綺麗ですよ。壷形土器に始まり、注口、台付鉢形、鉢形、盤形、皿形の各種土器、漆製品、土偶、土製品、石器、石製品。写真図版はフルカラーで合計130カット以上。実測図もさすがのレベル。

 正式書名などは以下のとおりで、表紙見本はコチラ→

 http://www.rekishin.or.jp/f-guzzu.htm (下の方にまでスクロールしてね)

 『国立歴史民俗博物館資料図録11 亀ヶ岡遺跡・是川遺跡 縄文時代遺物』 

 A4版全283頁 定価¥5,400+ 送料¥460 

 通信販売のご注文は〈一般財団法人歴史民俗博物館振興会〉まで

 E-mail shop@rekishin.or.jp

 住所:  〒285-0017 千葉県佐倉市城内町117 国立歴史民俗博物館内

 電話:  043-486-8011  FAX: 043-486-8008 

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