考古学ブログ: Ours! 近江貝塚研究会

その事務局員が成長を目指して綴るバラエティー

タグ:瀬口眞司

お世話様です。本日は、青森県八戸市の是川縄文館さんとのコラボで、2つの情報をご案内いたします。

 

1.冬季企画展「縄文・かたちの美-是川遺跡の土製品-

青森県八戸市の是川縄文館さんでは、上記タイトルの企画展を開催中です(2024324日まで)

是川遺跡からみつかった土偶や土版、イモガイ状土製品などを集め、土製品の形や模様のデザインの多様さについてご紹介。

詳しくは以下URL1】をご覧ください。

URL1】

https://www.korekawa-jomon.jp/events/event/%e5%86%ac%e5%ad%a3%e4%bc%81%e7%94%bb%e5%b1%95%e3%80%8c%e7%b8%84%e6%96%87%e3%83%bb%e3%81%8b%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%ae%e7%be%8e%e2%80%95%e6%98%af%e5%b7%9d%e9%81%ba%e8%b7%a1%e3%81%ae%e5%9c%9f%e8%a3%bd/

 

2.令和5年度 是川縄文館考古学講座(後期)

上記1の展覧会にちなみ、主に北東北における縄文時代の土製品についての講座が開かれます。

次回講座は下記のとおりで、詳細は【URL2】をクリックしてご覧ください。

1)日時等 令和6210() 2:00 PM  4:00 PM  聴講無料・要申込み(100名まで) 

2)テーマ 円筒上層式土器に描かれた土偶の正体

3)講 師 瀬口 眞司 (公益財団法人滋賀県文化財保護協会)

※ 講師は瀬口です。当方の『紀要』35号に書いた論文【URL3】をベースに、「円筒上層式の土偶意匠とその意味」についてお話ししてみます。

URL2】

https://www.korekawa-jomon.jp/events/event/%e4%bb%a4%e5%92%8c5%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e6%98%af%e5%b7%9d%e7%b8%84%e6%96%87%e9%a4%a8%e8%80%83%e5%8f%a4%e5%ad%a6%e8%ac%9b%e5%ba%a7%e5%be%8c%e6%9c%9f/

URL3】

https://www.shiga-bunkazai.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/03/2fe180ee13cd09ddb7b96ad6cc389bbd.pdf

(瀬口眞司)

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申し訳ありません。コロナウイルス感染拡大防止策の一環として、本例会につきましては【無期延期】となりました。交通機関や宿泊などを予約してくださっていた方におかれましては、お手数ですがキャンセルをお願いいたします。大変ご迷惑をおかけいたします。(2020年4月5日 事務局:瀬口眞司)

【以下、参考までに掲載しておきますが、無効・無期延期となっていますので、ご注意ください】

◆ご案内のポイント

近江貝塚研の2020月例会(/30)の先行案内速報版です。

特集名は【土器の分析から社会の基盤を探る】です。土器に組み込まれている意味やその展開の過程を探り、とりまく現象を生み出していた社会を照らし直します。

議論を通して、研究対象と対峙するときの芸の幅を広げ、感性を研ぎ澄ましてまいりましょう!

学生さんや情報のシェアも大歓迎!お待ちしてます。

 

◆ご案内の詳細

対象:2020月例会(第319回) 

特集:土器の分析から社会の基盤を探る

日時:202030日(土)13:30  

会場:滋賀県埋蔵文化財センター・2階研修室  

http://www.shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

JR瀬田駅発滋賀医大行きの「帝産バス12:45」か「近江バス13:10」に乗車、「文化ゾーン前」下車がおススメです。

 

報告:

1瀬口 眞司公益財団法人滋賀県文化財保護協会

〈タイトル〉円筒上層式土器における土偶装飾付土器とその展開過程

〈あらまし〉縄文中期の東北地方北部に分布する円筒上層式土器を対象とする。「土偶を装飾した土器」を新たに捉え、型式組列を設定しながらその展開過程を明らかにする。

併せて201912月例会で検討した中部高地における土偶装飾付土器の展開過程と比較する。上記の諸作業を通して、中期の東日本に生じた現象の一端を解明し、縄文社会の基盤にある世界観について認識深化を試みる。

 

2山下 優介さん|東京大学大学院

〈タイトル〉弥生・古墳時代移行期における「近江系土器」の基礎的検討:広域拡散現象を読み解く視点の整理と適用

〈あらまし〉「近江系土器」をめぐって用意されてきた分析視点を整理し、蓄積の進む資料を理解するための方法を検討するとともに、具体的な実践例を示す。

 

ではでは!!  瀬口眞司

 
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近江貝塚研の12月例会(12/14)の先行案内速報版です。

特集は【資料の向うにあるものを捉えるです

資料をみるとはどういうことか。何が見出せるのか。改めて問い直し、展望を開くことに挑みます。

皆様のご専門におけるブレークスルーの糸口、知的な化学変化の契機がそこにあるはず。

全力でご期待にお応えしますので、是非お運びください。

 

◆ご案内の詳細

対象:201912月例会(第314回) 

特集:資料の向うにあるものを捉える

日時:20191214日(土)13:30  

会場:滋賀県埋蔵文化財センター・2階研修室  

http://www.shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

JR瀬田駅発滋賀医大行きの「帝産バス12:45」か「近江バス13:10」に乗車、「文化ゾーン前」下車がおススメです。

 

報告:

1瀬口 眞司

〈タイトル〉土器と土偶/構造と変換(仮)

〈あらまし〉事象の本質を捉えるには、型式学的な変化を追うだけでなく、構造──手を替え、品を換えながら繰り返し現れるもの──を捉えることが必要である。土偶と縄文土器、その関係性を対象として、構造と変換のあり方を具体的な資料から改めて整理し、それらの本質に関する予察と展望を提示する。

 

2辻川 哲朗さん

〈タイトル〉須恵器系埴輪の製作技術について(仮)

〈あらまし〉いわゆる淡輪技法をはじめとする須恵器系埴輪の製作技術について、あらためて技術の内容と系譜を検討するとともに、埴輪の生産体制について考えてみたい。

 

ではでは!!  瀬口眞司



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みなさま

 

富山の町田賢一さん達が盛り上げておられる「北陸貝塚研究会」。

その記念すべき第10回例会に、第19回尖石縄文文化賞受賞者:西野雅人さんとお邪魔することになりました。土偶論特集です。ご都合とご興味がマッチするようでしたら是非!
とっても元気な研究会。「近江貝塚研究会」同様、ぜひご活用ください!

 (瀬口眞司)

 

********************

記念すべき第10回北陸貝塚研究会の開催のご案内です!

全国各地でJOMON熱にうなされた日々が続いており、特に土偶は愛嬌のある姿かたちのため、多くの人々の注目を集めています。姿かたちだけでなく、その土偶にはどんな縄文人の思考が詰まっているのか?関東と関西の縄文研究を牽引するお二人から、土偶を通して縄文社会を読み解いてもらいます!次回の研究会を行かずして縄文は語れません!

  

日時:2019119日(土)1315分~
場所:環日本海交流会館 大会議室(いつもの場所と違うので気をつけてください)

http://www.tic-toyama.or.jp/kannihonkai/


テーマ:「土偶のヒミツ」

発表土偶の2つの基本的様態とその遷移」(瀬口 眞司)
発表縄文中期土偶からみた集団の地域間交流」(西野 雅人)

 

(瀬口発表要旨)
土偶とその関連資料には2つの基本的な様態がある。α態は、霊的存在が取り付くことを待つ「依代」であり、後期旧石器末から連綿と続いた「定番品」である。一方のβ態は、霊的存在が取り付いた「精霊像」であり、縄文前期末に付加されたいわば「新製品」である。新製品の顕在化の背景にあったコンセプトは「見える化」で、β態はその演出の結果である。以上の点を資料に即しながら論証する。

 

(西野発表要旨)
関東甲信越広域に花開いた縄文中期文化のなかで、土偶は重要な位置を占めるが、関東で盛行をみたのは武蔵野・相模野台地の一部のみ。下総台地の中期大型貝塚群は持ち込みを明確に拒否した。県内出土例は大型貝塚成立前の狩猟好適地に点在、北関東や西関東の集団進出を示唆する。祭祀用土器と一括埋納された鉢ヶ谷土偶は、甲信地域の円錐形土偶の祖型に近いものと判断され、控えめな動作は、瀬口眞司さんのいう「第2組の腕」を欠く表現とみるに至った。瀬口さんからご意見をいただき、地域を超えた集団関係を考える契機としたい。

 

*研究会終了後には懇親会も行います。 

多くの方のご来場をおまちしております。 

北陸貝塚研究会 佐藤


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いつもありがとうございます! 近江貝塚研究会事務局からのご案内です。

 

◆ご案内のポイント

近江貝塚研12月例会(12/15)の速報版です。

特集名は【文化財の活用/曲がり角での対峙】。

文化財保護法の改正に伴い、どんな危機と好機と向き合うことになるのか。

どのような対応を目指すべきなのか。

博物館や調査組織が、胸を張って生き抜くためにはどのような観点が必要か。

議論の起点を見つけ、走り始める機会とします!

 

◆ご案内の詳細

対象:12月例会(第302回) 

特集:文化財の活用/曲がり角での対峙

日時1215日(土)13:30  

会場:滋賀県埋蔵文化財センター・2階研修室 

http://www.shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

報告:

1瀬口 眞司公益財団法人滋賀県文化財保護協会

〈タイトル〉活用の行方 文化財の意義と改めて向き合いながら考える(仮)

〈あらまし〉日本は観光立国を新たに目指しています。そんな中で文化財保護法が改正されました。この点も踏まえながら、「文化とか、文化財ってそもそも何だっけ」と自問し、自らが実践してきた活用のあり方の性質、長所と短所・欠点を見直して、新たな一歩を考えます!

 

2堀 真人さん|公益財団法人滋賀県文化財保護協会

〈タイトル〉埋蔵文化財の活用から文化財の活用へ-調査法人の実践例からみた課題と展望

〈あらまし〉 調査法人は主に埋蔵文化財、発掘調査を実施する団体として設立され、現在においてもその役割については大きく変わっていない。ただし、2000年以降に民間調査組織の活用、かながわ考古財団の外郭団体からの切り離し、会計検査院の指摘を受けての実支出精算の厳格化など、調査法人を取り巻く環境はいちだんと厳しさを増している。

 その一方で、今年度、文化財保護法が改正され、新たに地域における文化財の保存活用がクローズアップされることとなった。

 そこで、調査法人が埋蔵文化財の普及活用に力を入れてきた実績を振り返りながら、今後、広く文化財を活用する新たな役割を担うことができるのか。その可能性について議論したい。

 

◆お願い

とりあえず日程を手帳にお書きとめください!より詳しいことは後日にまたご連絡します。


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近江貝塚研究会12月例会(第290回例会)  
特集:〈
先入観との対峙/未検証仮説を見直す2

日時:201712月9日(土)午後1:30~午後6:00  
    〈研究報告60分+質疑応答60分〉×2本

◆場所:滋賀県埋蔵文化財センター 2階研修室

    http://shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

JR瀬田駅発 滋賀医大(大学病院)行きバス 「文化ゾーン前」下車徒歩5分 

(帝産バス12:45発 もしくは 近江バス1305発の乗車がおススメです。)

 

◆報告1:瀬口眞司| 公益財団滋賀県文化財保護協会 |

    土偶とそのマスク

(要旨)縄文時代前半期や西日本の後半期には「顔のない土偶」が多数生み出された。その反面、また中期以降の東日本では「顔のある土偶」が盛行し、後期以降は仮面も顕在化する。これらはどのような背景・土壌のもとに生まれ、製作者・使用者たちはこれをどう位置付けていたのか。観察の理論負荷を意識しつつ、研究史と資料を俯瞰しながら予察し、アプローチの方法を模索する。

 

◆報告2:吉田泰幸さん| 金沢大学 人間社会研究域 附属国際文化資源学研究センター

 Japanese Archaeological Umbrella: 日本考古学の「傘」はどんな形をしているのか

〈要旨〉今回のテーマ、〈先入観との対峙〉は「パラダイム」や「パラダイムシフト」とも関係があると思いますが、私と“Japanese

ArchaeologicalDialogues: 文化資源学セミナー「考古学と現代社会」2013-2016” (吉田・アートル編2017. 金沢大学国際文化資源学研究センター)を共同で編集したアメリカ出身の文化人類学者のジョン・アートルは、次のような話をしたことがあります。

ア:「日本考古学にポスト・プロセス的なものってあるの」

よ:「それが前提としているプロセス的なものがないんだからないんじゃない」

ア:「・・・?」

よ:「・・・??」

そういった「パラダイムシフト」はないように見えますが、日本考古学の型や範のようなものはありそうで、それが今回のテーマが設定された理由だと思います。そこで、Clive Gambleの”The unfurling umbrella ofarchaeological theory”という図を手掛かりに日本考古学の「傘」の見取り図を描いてみて、型や範を見直すケーススタディをいくつか試みたいと思います。

_________________________________

・懇親会(会費 社会人3000円前後、学生2000円前後)もあります。親交拡大にご活用下さい(JR大津駅前「養老の滝」の予定)。

・災害やインフルエンザ等の流行などに伴い、急遽中止になることもあります。怪しいときはお手数ですが、必ず ブログ!http://koukogaku.blog.jp/ などでご確認下さい。


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 近江貝塚研究会10月(第276回)例会を以下のとおり開催します!ご都合よろしければ、ぜひ。  


 特集:縄文文化論革新への挑戦! 
    資料に残る相違と共通を起点にして


1.日時:1029日(土)午後1:30~午後6:00

  〈研究報告60分+質疑応答60分〉×2本

2.場所:滋賀県埋蔵文化財センター 2階研修室
  
http://shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

  JR瀬田駅発 滋賀医大(大学病院)行きバス 「文化ゾーン前」下車徒歩5
  
(帝産バス12:45発 もしくは 近江バス1305発の乗車がおススメです。)

3.報告
1)中村 大さん | 立命館グローバル・イノベーション研究機構|
  東北地方の縄文晩期墓制にみられる地域的特徴とその社会的意味の再検討

 要旨:これまで「東北北部」いう大きな空間スケールで括られ、説明されてきた縄文時代の墓制が、「青森平野」「鹿角盆地」など小さな空間スケールの地域的特徴を有することを明確にする。墓穴形状、副葬品、赤色顔料など各属性の組合せから地域的変異を整理し、墓制の複雑さや変化の大きさにも地域性があることを説明する。それらをもとに墓制にみられる地域自律性、墓に現れた差異が持つ社会的・象徴的意味、人口変動との関連性などについて、解釈を試みたい。


2)瀬口 眞司 | 公益財団法人滋賀県文化財保護協会 | 
  
前期土偶の根本的性質と展開過程

 
要旨:手を変え、品を変えながら〈繰り返し表現される共通要素〉をカギにしながら、縄文前期を中心とした時期の土偶とその関連資料を分析し、その根本的性質、展開過程を問う。結果として、後期旧石器から少なくとも縄文中期初頭まで継承された〈基本構造〉を明らかにする。


__________


・懇親会(会費3000円前後)もあります。
 親交拡大にご活用下さい(JR大津駅前「養老の滝」の予定)。


・災害やインフルエンザ等の流行などに伴い、急遽中止になることもあります。


 怪しいときはお手数ですが、必ず 瀬口携帯 090-1441-5104(それからブログ!http://koukogaku.blog.jp/ )などでご確認下さい。




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まいど。近江貝塚研究会事務局からのご案内です。今回は10 月例会の速報版です。資料に残る相違と共通を起点にして縄文文化論を改めて見直す研究に挑戦します。詳細は後日ご連絡しますが、日程・内容などの概要は以下の通り。是非カレンダー・手帳にご記入ください!

10月例会(第276回)  

特集:縄文文化論革新への挑戦! 資料に残る相違と共通を起点にして

1029日(土)13:30~ 滋賀県埋文センター・2階研修室 

◆報告1,中村 大 | 立命館グローバル・イノベーション研究機構

〈タイトル〉東北地方の縄文晩期墓制にみられる地域的特徴とその社会的意味の再検討

〈あらまし〉これまで「東北北部」いう大きな空間スケールで括られ、説明されてきた縄文時代の墓制が、「青森平野」「鹿角盆地」など小さな空間スケールの地域的特徴を有することを明確にする。墓穴形状、副葬品、赤色顔料など各属性の組合せから地域的変異を整理し、墓制の複雑さや変化の大きさにも地域性があることを説明する。それらをもとに墓制にみられる地域自律性、墓に現れた差異が持つ社会的・象徴的意味、人口変動との関連性などについて、解釈を試みたい。

◆報告2,瀬口眞司 | 公益財団法人滋賀県文化財保護協会 | 

〈タイトル〉再論・土偶とは何か ─前半期土偶の基本構造からの接近─

〈あらまし〉手を変え、品を変えながら〈繰り返し表現される要素〉を〈基本構造〉と呼び、縄文中期前半までの土偶とその関連資料を分析します。当該期の資料を問う意義、学史上の問題点を改めて整理した上で、前稿(瀬口2015)の欠点も顧みつつ、〈土偶とは何か〉について考えを深めます。特に意識して挑戦するポイントは、〈着目点と手法を如何に刷新できるか〉という点です。

瀬口眞司2015 「初期土偶の根本的性質と展開過程」『古代文化』第67巻第3


6月以降の予定のおさらいです。当店自慢のラインナップ。乞うご期待!

 第272回 6月25日(土) レンズの向うに見えるもの 2016 

 第273回 7月30日(土) 資料の総合的分析から我々は何を見出せるのか?

 第274回 8月27日(土) 動物遺存体を通して何をどう見る?

 第275回 9月24日(土) 縄文草創期研究を通して学ぶ〈人・環境〉の関係史


ではでは!!  瀬口眞司

 

 

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今週末の5月14日(土)に予定しております近江貝塚研5月例会。発表者と発表内容を、諸般の都合から、下記のように変更です!ごめんやで。
変更点は、報告1の報告者・報告内容だけです。
 報告2ならびに、日時・会場などは変更ありません。

近江貝塚研5月例会(271th

日時:514日(土) 1330

会場:滋賀県埋蔵文化財センター 2階研修室

http://shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

報告1 瀬口眞司 |滋賀県文化財保護協会 |関西縄文社会の地域的特色とその背景 (New!

(要旨)関西地方の縄文社会の地域的特色、それを醸し出した要因や背景を問う。議論のポイントは、〈資源の収穫期間の長さ〉と〈資源利用の方向性と強化の程度〉である。その議論のために、出土堅果類、打製石斧数、磨製石斧数、堅果類貯蔵量の数量的分析などを行った。

 結果、東日本に比べ、遺跡出土の堅果類はより多様で、収穫期間もより長く、集約的な労働編成の必要性が低かった可能性を改めて見いだした。また、土地・森林の開発強化には消極的で、資源利用の強化の程度も低く抑えられていたことも見いだせた。関西縄文社会の集団規模は極小さく、求心的な社会構造も生まれていないが、それは資源環境が貧しいからではなく、集団の求心性よりも世帯の自律性が優先され続け、社会の階層化や財・権力の集中にブレーキをかける仕組みが保持されていたからであり、収穫期間がより長い森林資源環境が、その地域的特色の維持を支えていたと考えられる。

報告2:奥村香子さん |敦賀市 |北陸の中期末葉土器群にみる“土器型式圏”の様相

(要旨)本論では北陸の中期末葉土器群である「串田新式土器」を取り上げる。縄文土器の型式圏を人間集団の構成エリアととらえ、縄文社会集団のあり方を考察する研究は数多く存在するが、北陸においては編年研究のほかには既往の研究蓄積が極めて少ない状況である。当該時期は特に地域色が顕在化している時期とされることから、当該エリア・時期の土器群の分析を通じて、北陸における地域集団のあり方に迫ることができればと考えている。これまでは編年体系の構築を目的に時間的変遷や系統関係の検討を進めてきたが、今回の発表では改めて型式内容の整理を行った上で、遺跡ごとの状況を確認し「同一土器型式圏」と認められるエリアの内部における空間的な様相の把握を試みる。


研究会事務局 瀬口眞司

 

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綺麗な本づくりで定評のある新泉社さん。中でも「遺跡を学ぶ」は、定番の人気シリーズになってます。今回ご紹介するのは、その107冊目の〈粟津湖底遺跡〉。わたくし、瀬口眞司が執筆担当いたしました。定価:1728円(税込み)、96ページ、新泉社 (2016/3/3)、ISBN-10: 4787715372 。

で、章立てはこんな感じ。

第1章 琵琶湖の湖底を掘る

1 縄文人のタイムカプセル

2 湖底の探索始まる

3 湖底を陸地化して本格的調査

第2章 掘り出されたタイムカプセル

  1 突然あらわれた第三の貝塚

  2 貝塚の堆積物をすべて回収せよ!

  3 土器・石器・骨角器

  4 多彩な装飾品

  5 漆製品と撚り紐

  6 意外な出土品と期待された課題

第3章 粟津縄文人の暮らしをさぐる

  1 解明への手さぐり

  2 粟津縄文人の食卓を復元する

  3 粟津縄文人の四季の暮らしを復元する

第4章 琵琶湖縄文人の定住戦略

  1 琵琶湖縄文人の開拓史

  2 これからの粟津湖底遺跡


 粟津湖底遺跡ってね、大津市にある縄文早期~中期を中心とする湖底遺跡のことですわ。今は水没してますけど、かつて陸地だったころの暮らしの痕跡が、湖水にパックされた状態で克明に残っておりました。

ちなみに、第1章は調査に至る過程の物語。潜水調査のご苦労なんかも書きました。第2章では、縄文中期の第3貝塚の詳細や主だった出土品のご紹介。第3章は、本書の最大のポイント。ほかの遺跡では滅多にわからない〈縄文人の食卓の内訳や季節性〉とその解明過程のご紹介。水洗選別や同定、集計、貝殻成長線分析なんかも丁寧に書きました。で、最期の第4章は、第3章までの調査作業を踏まえて見えてきた琵琶湖縄文人たちの定住戦略とその推移の解説となってます。

 本書の編集方針で大事にされていたのは、粟津湖底遺跡の紹介はもちろんなんですけど、発掘調査とその報告書刊行に向きあった若き調査員たち(・・えー、そうです。かつての私たちのことです)の汗と涙の物語りなんかも、まぜ混ぜしながら仕立てること。ですからね、あまり期待しすぎないで読むと、まずまず楽しく読めると思います。近江貝塚研が、なぜ誕生したのかもちゃんと書きましたからね。どうよ。


 少数ですが、近江貝塚研の3月例会でもちょっこし割引価格で販売できるかも。もちろん定価でよければAmazonでも購入可。そのサイトの検索窓で〈粟津湖底遺跡 瀬口〉って入力すれば、すぐヒット。よろしかったら、試してみてね。

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