考古学ブログ: Ours! 近江貝塚研究会

その事務局員が成長を目指して綴るバラエティー

タグ:集団

desert-3832488_1280

近江貝塚研の2019年8月例会(8/31)の先行案内速報版です。

今回の特集は【葬送における規律と集団像/弥生墓制の研究に学ぶ】です。

埋葬遺構群の分析から、私たちは何をどう読み解いていけるのでしょうか?

 

葬送において地域ごと・集団ごとに見られる規律や、

それらと墓群構成の相関性などから出自集団の関係性、社会の組織及び構成などに切り込む研究をご報告いただきます。

 

遺跡・遺構から何かを見通す研究に生かせる観点・方法のヒントがあるはず。

ぜひブレークスルーの糸口にしてください!

ご期待に全力でお答えします。

 

◆ご案内の詳細

対象:2019月例会(第309回) 

特集:葬送における規律と集団像/弥生墓制の研究に学ぶ

日時:201931日(土)13:30  

会場:滋賀県埋蔵文化財センター・2階研修室  

http://www.shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

JR瀬田駅発滋賀医大行きの「帝産バス12:45」か「近江バス13:10」に乗車、「文化ゾーン前」下車がおススメです。

 

報告:

1相馬勇介さん|堺市

〈タイトル〉 穿孔土器の分析からみた葬送儀礼の規律について

〈あらまし〉 膨大な発掘調査の成果によって、弥生時代における葬送儀礼の痕跡は数多く確認されており、各調査の報告時にはその内容について詳細な分析が行われてきている。しかし、それらの内容について統括的に分析を行った研究は少なく、現状では各地域間における葬送儀礼の様相について十分な理解はないと言えよう。本発表では、弥生時代の葬送儀礼について地域間での違い(規律?)は存在するのか、という疑問を解消することを目的とする。対象とする地域は、現在の大阪湾岸域(摂津~河内~和泉)である。扱う資料は、葬送儀礼の結果物として研究史上で十分に指摘されてきた、穿孔土器である。

 

2川部 浩司さん|斎宮歴史博物館

〈タイトル〉 出自と墓葬をめぐる集団像と近畿弥生社会

〈あらまし〉 近畿地方の方形周溝墓にみる墓群構成と墓葬儀礼から、出自集団関係と弥生社会 の構成を検討する。特に、祭儀の執行を示す普遍的な供献土器儀礼の分析を中心として、墓葬儀礼と墓群構成の相関性を導き出すとともに、出自集団の関係性や弥生社会の組織及び構成といった墓葬にまつわる社会的な集団像を描き出す。

 

◆お願い

 今回の例会も含めまして、各回開催日をぜひ手帳にお書きとめください!

 既報の例会の詳細・概要については下記の近江貝塚研ブログで掲載しています。

 5月例会 525日  http://koukogaku.blog.jp/archives/1073937773.html

6月例会 629日  http://koukogaku.blog.jp/archives/1074491503.html

7月例会 727日  http://koukogaku.blog.jp/archives/1074491531.html

ではでは!!  瀬口眞司


このエントリーをはてなブックマークに追加

fire-2596225_640

 弘前大と九州大院の精鋭二人が、縄文後期を主なターゲットとして、先史社会の適応のあり方を、それぞれの手法で新たに掘り下げる試みを繰り広げます。ご自分の研究も更に伸ばしたい方、発想や観点を磨き、ヒントを見つけにカモン!お待ちしております。(瀬口眞司)


293回例会〈どう問うか/先史社会の適応とその多様性

日時:2018年3月24(土)午後1:30~午後6:00  
  〈研究報告60分+質疑応答60分〉×2本

場所:滋賀県埋蔵文化財センター 2階研修室

    http://shiga-bunkazai.jp/%e5%88%a9%e7%94%a8%e6%a1%88%e5%86%85/

JR瀬田駅発 滋賀医大(大学病院)行きバス 「文化ゾーン前」下車徒歩5分 

(帝産バス12:45発 もしくは 近江バス1305発の乗車がおススメです。)

 

報告1:小泉  翔太さん| 弘前大学人文社会科学部特任助教 |

    土器の物理的特性に関する基礎的検討

(要旨)発表者はこれまで、縄文後期の関西地方の土器群について系統と組成構造に着目して検討を進めてきた。その結果、当該期には関東地方の土器と類似性を有する類型がしばしば認められるが、その製作技術や組成構造に占める位置付けには差異が見出された。このことを、「どのような土器をどの場面でもちいるか」という土器の「消費スタイル」の差異として捉えたが、その具体的なありかたには言及できていない。

そこで、本発表では特に土器製作技術における差異の背景を考えるべく、胎土や成形技法、器壁の厚みといった「つくり」が、容器・調理器として使用する際の物理的特性にどのていど影響するかを、実験的方法を用いて検討する。分析項目は熱物性、加熱時の温度変化、保水性の三点である。

諸研究において縄文時代の自然資源利用のありかたは時期・地域によって多様であったことが指摘されており、こうした生態的な多様性に適応する道具としての土器のありかたを、製作技術の面から追及する視座を整えることが本発表の狙いである。

 

報告2:福永 将大さん| 九州大学大学院 地球社会統合科学府 |

「縄文文化の東西差」に関する一考察 ―縄文後期中葉社会を事例として―

〈要旨〉東日本と西日本では、縄文時代の遺跡・遺構・遺物に量的・質的な差異が見られ、「東高西低の縄文文化」と言われる。こうした現象の要因として、従来、資源環境の豊かさとそれに伴う人口規模の差異が指摘されてきた。また、近年の植物考古学などの研究成果により、列島東西で資源環境が異なるだけでなく、資源環境への集団のアプローチの仕方が異なっていた可能性も提示されている。

これまでの「縄文文化の東西差」に関する研究では、主に資源環境と人間集団の関係が議論されており、多大な研究成果の蓄積がなされてきている。一方で、そうした資源環境の中で、人間集団と人間集団の交流や関係性のあり方についての東西比較研究は十分に行われてきたとは言い難い。

本研究では、縄文時代後期中葉における関東・九州両地域を東西縄文社会のモデルケースとして取り上げる。具体的な分析項目としては、土器の時空間的様態の比較検討を主軸とし、各遺跡に残された諸施設(住居址、貯蔵穴、墓地など)や石器組成の検討も行う。これらの分析結果をもとに、集団関係・集団構成という観点から両地域の縄文後期中葉社会を比較・考察し、学史的研究課題である「縄文文化の東西差」発現要因の解明に向けての一助としたい。

_________________________________

・懇親会(会費 社会人3000円前後、学生2000円前後)もあります。親交拡大にご活用下さい(JR大津駅前「養老の滝」の予定)。

・災害やインフルエンザ等の流行などに伴い、急遽中止になることもあります。怪しいときはお手数ですが、必ずブログhttp://koukogaku.blog.jp/ などでご確認下さい。

このエントリーをはてなブックマークに追加


landscape-330381_640

年末開催の近江貝塚研12月例会のご案内〈速報版〉!

 弥生時代の集団論を改めて見直す機会として挑戦します。発表者は下記の通り。毎回おススメですが、今回のセットも聞き逃すと後悔してしまうパターン。詳細は後日ご連絡しますが、日程・内容などの概要は以下の通り。是非カレンダー・手帳にご記入ください!

 

――――――――

12月例会(第278回)  
 特集:墓群形成と武力衝突から弥生社会論を見直す! 


1217日(土)13:30~ 
 滋賀県埋文センター・2階研修室 

 

◆報告1, 藤井 整さん| 京都府教委 |

〈タイトル〉墓群形成からみた弥生時代の親族組織とその階層化

〈あらまし〉近畿地方における弥生社会の複雑化に関する議論は、巨大な前方後円墳の出現という「事実」から必然的に導かれてはいないか。加美Y1号墓に代表される大型墓の被葬者が、上位階層の析出を意味するものではないと評価した視点から、古墳の成立に向けた社会の複雑化の実態がどのようなものであったか検証する。

 

◆報告2,荒田 敬介さん | 神戸市教委 | 

〈タイトル〉弥生時代の武力衝突と集団関係(仮題)

〈あらまし〉弥生時代にはじまったといわれる武力衝突。近年の研究成果によれば、個人間の争いから集団間の戦いまで、武力衝突にも様々なレベルが存在することが明らかとなり、高地性集落の性格や平地性集落間の構造分析も各地で進展しており、集落の研究成果から武力衝突の実態も論じられるようになってきた。 本発表では、武力衝突に関連する考古資料の分析と、河川流域や盆地などの地形モデルごとに集落間構造と変遷過程を分析することによって、武力衝突が集団関係にもたらした変化を明らかにし、武力衝突が生じた原因を検証する。

 

ではでは!!  瀬口眞司


このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ